記念すべき第1作品目は、フランソワ・ブーシェの《中国皇帝の謁見》です。
辨髪姿で手をついてひざまずく者たち、学者風の老人、武器を持つ男たち、そしてひしめくように描かれた人々の視線の先にいるのは、女性に囲まれて玉座に座る皇帝。
見ているだけで、こんなに頭が混沌としてくる絵って、そうそうない。
中国人なのはわかる。それは、辨髪や、皇帝や、着ている服や、磁器なんかから推測できる。でも何かおかしい。。。
例えば、ここはどこ?外?内?
青空が見えるから外にいるのだろう。でも皇帝の背後に建っている奇妙な天蓋はなんだろう。玉座の下には階段があるし。皇帝は宮殿内におわすのではなく、庭に玉座を設置してわざわざ絨毯まで敷いて謁見の儀を執り行っているのか・・・。
よく見れば人々の顔も、様々な人種が混じっているように見えるし、変なとこだらけである。
それっぽい服装をした人と、それっぽいガラクタをとにかく集めまくった、暑苦しい絵。
これは、『中国のタピスリー』というシリーズ名で織られた、6枚のタピスリーのために描かれた10枚の下絵のうちの1枚。『中国のタピスリー』は、なんとルイ15世から乾隆帝への贈り物として織られました。
ルイ15世としては、中国皇帝の偉大さを讃える意味でこのようなデザインを要望したのでしょうね。乾隆帝はどういう気持ちでこのタピスリーを眺めたのか・・・。
ブーシェは一度も中国には訪れたことはありません。
この絵がむさ苦しくも、どこかファンタジックでお伽噺の挿絵のように見えるのは、これがブーシェの頭の中で膨らまされた「夢の国」だからでしょうか。
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